どうも、いちにょきです(^^)/
さて、みなさんは電験で計算する際、有効数字を意識していますか?
有効数字を意識せずに計算をしていると、解き方は合っているのに答えが微妙に違う...なんてことも('Д')
そこでこの記事では、電験における有効数字の扱い方について解説します。
では早速見ていきましょう!
電験3種と電験2種・1種の一次試験における有効数字
電験3種と電験2種・1種の一次試験においては解答が選択式ですので、有効数字についてはほとんど意識しなくても大丈夫です。
計算過程である程度誤差を含んだとしても選択式なので、正答から大きく外れなければ、正しい答えを導けます。
「じゃあ結局何桁で計算すればいいの?」という声が聞こえてきそうなので、強いて目安として挙げるとすれば、問題文の数字をそのまま使うということになります。
電験2種・1種の二次試験における有効数字
二次試験問題冊子における有効数字についての記載
さて本題はここからです!
2種・1種の二次試験の冊子の最初には、こんな記載があります。
この記述からまず、解答は有効数字3桁でないといけないことがわかります。
また、「解答以外の数値の桁数は、誤差が出ないよう多くとってください。」とあり、これも守らなければなりません。
では、解答時は3桁とあるので、計算時は有効桁数を4桁確保しておけば問題ないのでしょうか?実際、問題集によっては4桁で計算しているものも見受けられます。
しかし以下の理由から、私は有効桁数5桁で計算することをお勧めしますし、実際そうしていました。
- 丸め誤差が蓄積する可能性
- 桁落ちの可能性
ではひとつずつ見ていきましょう。
丸め誤差が蓄積する可能性
丸め誤差とは
丸め誤差とは、桁数の多い数字をどこかで打ち切る際に発生する誤差のことです。
例えば、1.453474...という無限小数があったとします。
これを計算するときには無限の桁数で計算するのは不可能なので、どこかで打ち切らければいけませんよね。
仮に有効数字4桁で計算する場合、1.453という値で計算することになり、実際の無限小数値(真値)からは
1.453474... - 1.453 = 0.000474...
0.000474...だけ誤差が生じることになります。
これが丸め誤差です。
計算を繰り返していく中でこの丸め誤差が蓄積されると真値からのずれが大きくなってしまう場合があります。
丸め誤差が蓄積する例
例として、4.55555...という数値を有効数字4桁に丸めて計算する場合と5桁に丸めて計算する場合にどのような違いがあるかを見てみましょう。
それぞれ丸めた数値を3乗して、有効数字3桁に丸めると、
有効数字4桁:4.5563 = 94.569... → 94.6
有効数字5桁:4.55563 = 94.544... → 94.5
このように結果が変わってしまいます!
今回はわざと誤差が大きくなる場合を例として取り上げていますが、実際の試験でこういうケースが発生しないとも限らないので、有効数字4桁では不安が残ります。
計算途中で数値を丸めるときの注意
さて、ここまで何も言及せずに数値を丸め(切り上げor切り捨て)ていましたが、間違った数値の丸め方をしてしまうと、丸め誤差を不用意に拡大してしまいます。
JISZ8401に記載されている正しい数値の丸め方を簡単に説明します。
ここでは有効数字3桁に丸める場合を考えてみましょう。
まず大原則として、近いほうの数値に丸めます。
例:1.224...→1.22、1.226...→1.23
上記の例では1.224は1.23よりも1.22に近いので切り捨て、1.226は1.22よりも1.23に近いので切り上げます。
じゃあ1.225...はどうするの?って思いますよね。
丸める対象の数値が5のときは、その一つ下位の数値を見て近いほうの数値を判断します。つまり一つ下位の数値が0以外(1~9)であれば切り上げます。
例:1.2251...→1.23、1.2256...→1.23
もし一つ下位の数値が0だった場合はさらにその一つ下位の数値を見て、、、といった具合に、0でない数値が表れるまでこれを繰り返して切り上げか切り捨てかを判断します。
そしてもし0でない数値が表れる前に有効数字末尾に到達してしまった場合は、近いほうの数値を判断することができません。例えば1.2250や1.225の場合、1.22と1.23のどちらに近いか判断できないですよね。
この場合は丸めたあとの有効数字末尾(今回だと有効数字3桁目)が偶数になるように丸めます。
例:1.2250→1.22、1.2350→1.24
ちなみに、なんで偶数になるように丸めるの?と思われる方のために説明しておくと、丸め誤差が切り上げる回数と切り捨てる回数をできるだけ均等にするためです。
「偶数になるように丸める」と決めておけば、同じ状況になったときに、切り上げる確率も切り捨てる確率もともに1/2になるからです。
以上をまとめると、
- 基本は近いほうの数値に切り上げor切り捨てを行う
- 近いほうの数値が二つあってどちらからも同じだけ離れているときは、有効数字末尾が偶数になるように切り上げor切り捨てを行う
お気づきの方もいるかもしれませんが、実はこの方法、同じ近さの数値が二つある場合を除いて四捨五入になります笑
なので、もし上記の方法が難しく感じた方は、「合わせたい有効桁数の一つ下位の桁(有効数字3桁なら4桁目)を四捨五入する」と覚えてもらっても実用上問題ないと思います。
桁落ちの可能性
桁落ちとは
桁落ちとは計算途中で有効数字が減少してしまうことをいいます。
例:15.623(有効数字5桁) - 15.112(有効数字5桁) = 0.511(有効数字3桁)
桁落ちは近い値同士で加減算をすると起こります。
桁落ちの対策
桁落ちの対策としては、桁落ちしても問題ない桁数を確保しつつ計算するしかありません。かといって、むやみに桁数を増やしてしまっては計算量もばかになりません。
なので以下のように考えるとよいでしょう。
- 電卓のメモリ機能などを駆使して、できるだけ丸める前の数値で計算する。
- 万が一桁落ちが発生し、有効桁数が減ってしまった場合は、他の数値に合わせて末尾に0を追加して有効数字を合わせる。
電卓のメモリ機能の使い方については過去記事をご覧ください。
[電験・エネ管]電卓の選び方と計算が早くなるMRC(MR、MC)、M-、M+の使い方
電気主任技術者試験(電験)やエネルギー管理士試験(エネ管)では試験時間を有効に活用するために、電卓をうまく使いこなすことが必要になります。 しかし、普段の生活では数字と四則演算(+、-、×、÷)と=く ...
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電卓のメモリ機能を使えば、丸める前の有効数字の多い数値を使うことができ、桁落ちが起こったとしても有効数字が4桁以下になるリスクを減らすことができます。また、数値を丸める回数を減らすことができ、その分丸め誤差を減らせます。
電験二次試験は有効数字3桁解答なので、解答時には最低限4桁あればよいわけですが、桁落ちおよび前述の丸め誤差蓄積の可能性から、数値を丸める場合は5桁にするのがよいでしょう。
もちろん有効数字を増やせば増やすほど精度は上がりますが、有効数字が増えると計算量も増えるため、5桁が現実的だと思います。
万が一桁落ちが発生してしまい有効数字が4桁以下になってしまった場合、桁落ちした数値に合わせて他の数値も有効数字4桁以下まで落としてしまうと、全体の計算の精度が落ちてしまいます。
したがって、桁落ちしてしまった場合は、桁落ちした数値の末尾に0を追加し、有効数字5桁として計算を続けましょう。
電験における有効数字の取り扱い(まとめ)
今回は電験における有効数字の取り扱いについて解説しました。要点をまとめます。
- 電験3種と電験2種・1種の一次試験では、有効数字を意識せずに問題文中の数値をそのまま使っても問題ないが、電験2種・1種の二次試験では意識する必要がある。
- 数値を丸める際は近いほうの数値に切り上げor切り捨てを行う。近いほうの数値が二つある(同じ近さの)ときは丸めたあとの有効数字末尾が偶数になるように切り上げor切り捨てを行う。
- 上記の丸め方がわかりにくい場合は、単純に四捨五入しても問題ない
- 丸め誤差・桁落ちの観点から、電卓のメモリ機能を駆使して、できるだけ丸めていないそのままの数値で計算する
- 計算途中で数値を丸めるときは、計算量との兼ね合いから有効数字5桁にするのがおすすめ
- 万が一計算途中で桁落ちが発生し、有効数字4桁以下になった場合は、桁落ちした数値の末尾に0を追加して有効数字5桁に戻して計算を続ける。
せっかく解き方が正しくても、答えの数値が誤差の影響で違っていたなんて残念なので、有効数字は意識して計算しましょうね(*'▽')