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[電験・エネ管]電卓の選び方と計算が早くなるMRC(MR、MC)、M-、M+の使い方

2020年7月17日

電気主任技術者試験(電験)エネルギー管理士試験(エネ管)では試験時間を有効に活用するために、電卓をうまく使いこなすことが必要になります。

しかし、普段の生活では数字と四則演算(+、-、×、÷)と=くらいしか使いませんよね。かくいう私がそうでした(^^;

そこで今回は電験やエネ管を受験する方向けに、用意すべき電卓とMRC(MR、MC)、M-、M+機能の使い方を解説します。

試験で使用可能な電卓の種類

電気主任技術者試験

電験で使用可能な電卓は以下の通りです。

試験では、四則演算、開平計算(√)を行うための電卓を使用することができます。ただし、次の電卓は使用できません。使用した場合は、不正行為となりますのでご注意ください。
・数式が記憶できる電卓
・関数電卓
・印字機能を有する電卓
電卓の使用に際しては、音を発することはできません。

なお、試験問題によっては、開平計算(√)が必要になりますので、開平機能付きの電卓を使用するようにしてください。また、電卓の貸与はありません。

一般財団法人 電気技術者試験センター

数式が記憶できる電卓というのは基本的に関数電卓だと思って大丈夫です。

また、印字機能を有する電卓とはこちらのような電卓です。

さすがにこれを試験会場に持ち込もうとする人はいない気がするので、特段意識しなくても問題ないです(^^;

エネルギー管理士試験

次にエネ管では次の機能以外を有する電卓は使用できないとされています。

・電池(太陽電池を含む)内蔵型電卓で、キーを押したときに電子音などしないもの。

・四則演算、開平計算、百分率計算、税計算、符号変換、数値メモリ、電源入り切り、リセット及び消去の機能を持つもの。

また、開平計算の√機能は、試験問題の計算において使用する場合があります。

一般財団法人 省エネルギーセンター

求められる要件は基本的には電験と同じです。

持ち込むべき電卓

したがってどちらの試験でも、「関数電卓ではない一般的な電卓で、ルート機能の付いたもの」が最低限必須な要件ということになります。

しかし、最低限必須な要件に加え、ぜひ使いこなしてほしい便利な機能があります。

それが数値メモリ機能(MRC[またはMR, MC], M-, M+)です。

したがって持ち込むべき電卓の要件としては「関数電卓ではない一般的な電卓で、ルート機能と数値メモリ機能の付いたもの」となります。

MRCはMRとMCをひとつのボタンにしたものですが、MRCではなくMRとMCに分かれているほうが使い勝手がよいです。

すでにMRCキーの付いた電卓を持っている場合は、買い替えまではしなくてもいいと思いますが(管理人もMRCの電卓を使っていた)、もしこれから電卓を購入する場合は分かれているものを選びましょう。

ただ、MRCキーの電卓のほうがMRとMCキーの電卓よりもやや安い傾向があるので、コスパ重視の方はMRCのものを選ぶという選択もありだと思います。

また、税計算機能もある機種がよいです。

税率を73.2%と設定して税込計算をすれば「×√3」の計算が、税抜計算をすれば「÷√3」の計算が1ボタンでできるからです(ページ下部コメント欄参照)。

そのほかの機能(百分率計算、符号変換など)については正直好みの問題なのでお任せしますが、なくても問題ないです。

以上の内容を踏まえたおすすめの電卓を載せておきます。

MRとMCに分かれているタイプ

MRCにまとまっているタイプ

MRC(MR、MC)、M-、M+の使い方

各キーの機能

MRC(MR、MC)、M-、M+は数値を記憶させる機能です。それぞれのキーの機能は以下の通りです。

MR:記憶した数値を呼び出す(メモリリコール)

MC:記憶した数値を削除する(メモリクリア)

MRC:1回押しで記憶した数値を呼び出す(メモリリコール)、2回押しで記憶した数値を削除する(メモリクリア)

M-:記憶している数値から現在表示している数値を引き、その結果をメモリに上書きする。

M+:記憶している数値に現在表示している数値を足し、その結果をメモリに上書きする。

簡単な例題で実際に使い方を確認しましょう。

例題

A,B,C3つの電気機器があり、消費電力と効率は以下の表のとおりである。損失電力の平均を求めよ。

ABC
消費電力[kw]9070150
効率0.70.80.9

この場合計算式は

{90×(1-0.7) + 70×(1-0.8) + 150×(1-0.9) } ÷ 3

となります。これをメモリ機能を使って計算する手順は以下の通りです。

「1」「-」「0.7」「=」 → 「0.3」

「0.3」「×」「90」「=」 → 「27」

「M+」(27がメモリに記憶される)

「1」「-」「0.8」「=」 → 「0.2」

「0.2」「×」「70」「=」 → 「14」

「M+」(27+14=41がメモリに記憶される)

「1」「-」「0.9」「=」 → 「0.1」

「0.1」「×」「150」「=」 → 「15」

「M+」(41+15=56がメモリに記憶される)

「MR(またはMRC)」 → 「56※」(※27+14+15=56)

「56」「÷」「3」「=」 → 「18.666...」

となります。

仮にこれをメモリ機能なしの電卓で計算しようとする場合、27、14、15という数値を紙などに控えておき、平均を出すためにそれらの数値を手動で合計する必要があります。

1分1秒を争う試験中では、この差はとても大きいですよね。

また、手動で行うことでミスをしてしまう可能性もあります。その点についてもメモリ機能を使うことで回避することができます。

MRCを使う際の注意点

MRCは1回押しで数値を呼び出し、2回押しで記憶している数値を削除(記憶領域を解放)します。

数値を呼び出す際に意識してほしいのは、できるだけ数値を呼び出した後は、もう1回MRCを押してメモリを解放するというこです。

上記の例題のような簡単な計算であれば、メモリの数値をクリアしておかなくても問題はないのですが、もう少し複雑な計算になると、呼び出した数値を用いて計算した後、表示された計算結果を新たに記憶したい(M+やM-したい)場合があります。

前回記憶させた数値がメモリに残っている状態でM+を押すと、前回記憶させた数値に現在表示されている計算結果を足すことになってしまいます。

MRとMCにキーが分かれていれば、そこでMCを押してからM+を押せば問題ないのですが、MRCだけの場合は現在表示されている計算結果をどこかに控えてからでないとMRCを触れません(MRCを押すと現在表示されている数値が消えてしまうため)。

したがって、普段から数値を呼び出した後、その数値を他で使わない場合は、もう1回MRCを押してメモリを解放しておくようにしましょう。

GT機能について

実は例題のような計算はGTという機能を使って計算できなくもないです。

GTは計算結果を自動で集計して(足し合わせて)、GTを押した際に集計された数値を表示する機能です。

先ほどの例題だと、

{90×(1-0.7) + 70×(1-0.8) + 150×(1-0.9) } ÷ 3

という式に対して、マークした部分を暗算できれば、

「90」「×」「0.3」「=」 → 「27」(GT自動集計)

「70」「×」「0.2」「=」 → 「14」(GT自動集計)

「150」「×」「0.1」「=」 → 「15」(GT自動集計)

「GT」 → 「56」

「56」「÷」「3」「=」「18.666...」

というように計算できます。

ただ、GTは計算結果を単純に集計していくため、途中に集計されたくない計算を挟むことができません

今回のように、1-0.7=0.3など暗算で計算できるものならよいのですが、電卓を使わないとできない計算を途中に挟みたい場合は使うことができません。

例えば以下のような計算式だった場合、計算途中の余計な数値まで集計されてしまうため、GTでの計算は困難です。

{90×(1-0.7×0.64×0.42) + 70×(1-0.8×0.61×0.33) + 150×(1-0.9×0.88×0.79) } ÷ 3

GTは自動で集計してくれるため楽ではあるのですが、計算を始める前にいちいちGTが使えるかどうかの判断をするのは時間のロスにつながります。

したがって数値を足し合わせる場合、基本的にはGTは使わず、MRC(MR、MC)、M-、M+を使うことをお勧めします。

その他小技(2乗の計算方法)

何かとよく使う2乗の計算ですが、一般的な電卓であれば以下の方法で簡単に計算できます。

例:3.14の2乗の計算方法

「3.14」「×」(「×」)「=」 → 9.8596

「×」を二回押すかどうかは電卓によるので、ご自身の電卓で確かめてみてください。

また3乗の計算は2乗の計算のあとに「=」を押すと求められます。

例:3.14の3乗の計算方法

「3.14」「×」(「×」)「=」 → 「9.8596」「=」 → 30.959...

電卓の選び方と計算が早くなるMRC(MR、MC)、M-、M+の使い方(まとめ)

今回は電験やエネ管を受験する方向けに、用意すべき電卓とMRC(MR、MC)、M-、M+機能の使い方を解説しました。ポイントをまとめます。

  • 用意すべき電卓は「関数電卓ではない一般的な電卓で、ルート機能と数値メモリ機能の付いたもの
  • 数値メモリ機能はMRCではなくMRとMCに分かれているものがおすすめ
  • MRC2回押しで、使わなくなった数値はこまめにクリアしておく
  • GT機能は使える場面が限られるので、GTではなくMRC、M+、M-を使う

みなさんも電卓をうまく使いこなして、試験時間を有効に活用してくださいね(^^♪

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