どうもいちにょきです!
さて、電験やエネ管などの資格を取得される方の中には、会社から祝い金がもらえる方もいるのではないでしょうか?
かくいう私も、電験とエネ管を取得した際に会社から祝い金をいただきました。
実は資格合格を会社に申請する際に、申請時期によっては社会保険料の納付額が増えてしまうという落とし穴があるのです。
これは祝い金が出る会社ならば、どの会社でも同じです。
私も最初は知らずに損をしてしまいました。
みなさんには同じ轍を踏んでほしくないので、今回の記事を書くことにしました。
また、今回の内容は祝い金だけではなく会社から支払われる金銭全般に当てはまる内容です。
社会保険料がどのように決まるかも解説していますので、応用の幅が広い知識となっています。
毎月の給料を減らしたくない方はぜひ読んでみてください。
それでは行きましょう!
祝い金とは?
会社が取得を奨励している資格がある場合、会社は社員にその資格を取るインセンティブを与えるために、資格合格者に対して一時金を支払う場合があります。
この一時金のことを祝い金と言います。
もしかすると会社によっていろいろ呼び方が違う(資格取得奨励金?、自己研鑽奨励金?)かもしれません。
社会保険料の算定方法
保険料額表とは
さて、突然ですが、みなさんは自分が支払っている社会保険料(健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料)がどのように算定されているかを知っていますか?
私も入社した当初は全く知りませんでした(^^;
会社員の方は全国健康保険協会もしくは健康保険組合(全国健康保険協会と健康保険組合の二つの違いが知りたい方はこちら)が運営する健康保険に加入しています。
今回は全国健康保険協会の場合について解説します。
社会保険料は全国健康保険協会が公表している健康保険・厚生年金保険の保険料額表から算定されています。
この保険料額表は都道府県によって異なるのですが、一例として東京都の令和3年3月分からの保険料額表を示します。
保険料額表の見方
この表の見方は、以下の2ステップになります。
報酬月額の項目から該当する金額を探す
保険料は(ひと月あたりの)給料が高い人ほどたくさん納付しなければならない仕組みになっています。
そして、給料をどれだけもらっているかをある程度の範囲で区切って50個の等級に分けています。
そのひと月あたりの給料のことを報酬月額と呼んでいます。
しかし、毎月変動する給料から、どのように報酬月額を定めるのでしょうか。
実は4~6月に支給される給料(3~5月に働いた分)を、3で割って平均することにより定められています。
報酬月額は4~6月に支給される給料を、3で割って平均することにより定められる。
該当する報酬月額から保険料を算定する
報酬月額がわかったら、その報酬月額に対応する健康保険料(+介護保険料)と厚生年金保険料がわかります。
ここで健康保険料の項目にある、介護保険第2号被保険者とは介護保険料を納付しなければならない人のことで、40~64歳までの方です。
上記の表では介護保険第2号被保険者の健康保険料は11.64%、介護保険第2号被保険者に該当しない場合は9.84%となっているため、介護保険料率は(11.64%-9.84%=)1.8%であることがわかります。
厚生年金保険料は18.3%です。
また、全額と折半額という欄がありますね。
社会保険料というのは実は社員が納める分に加えて、会社が同じ額を納付しています。
つまり私たちが納めるべき額は折半額の金額になるわけです。
では一つ例を挙げてみましょう。
例えば東京都在住の45歳で4,5,6月の給料が45万、30万、45万だったとすると、報酬月額は3か月の平均であるため、
(45+30+45)/3=40
という計算から40万とわかります。
この金額は395000円~425000円の間に該当するため、健康保険料は23862円、厚生年金保険料は37515円となります。
保険料を抑えるには
さて、なんとなく社会保険料の算定方法がわかりましたね。
ところで、厚生年金保険料はたくさん払うほど将来もらえる厚生年金が増えるので百歩譲ってまだいいのですが、健康保険料に関してはたくさん払ったとしても、還元される額(医療費7割免除など)は変わりません。
そうであれば、できるだけ保険料は安く抑えたいですよね。
では、保険料を抑えるにはどうすればよいかというと、ここまでの話から考えればわかるように、報酬月額を抑えればよいですよね。
では、報酬月額を抑えるにはどうすればよいかというと、4~6月の給料を抑えればよいわけです。
4~6月の給料を抑える方法は色々あると思いますが、そのうちの一つが今回お伝えする、4~6月の給料として振り込まれる時期には、祝い金を申請しないという方法です。
電験とエネ管の免状交付タイミングと祝い金申請時期
では、電験3~1種・エネ管の免状交付タイミングと、祝い金申請時期について、併せて考えてみましょう。
なお、私の会社では免状が必要でしたが、合格証書だけで申請できる場合はこの限りではないので、自分の会社で確認されるのが良いと思います。
電験
3種
3種については合格発表が10月であるため、その後速やかに申請すれば12月頃に免状が交付されるでしょう。
3月になるまでに会社に祝い金を申請すれば大丈夫です。
2種と1種
2種と1種は二次試験があり、合格発表は2月です。
そこから免状を申請すると免状交付は4月頃になり、そのタイミングで会社に祝い金を申請すると、ドンピシャで4~6月の給料に反映されてしまうのです(´;ω;`)
したがって、2種や1種に合格した場合は①免状交付時期を遅らせる、もしくは②会社に祝い金を申請するタイミングを遅らせるといった方法を取る必要があります。
エネ管
エネ管の合格発表は9月頃です。しかし、エネ管の場合は免状交付に実務経験の証明が必要となります。
実務経験の証明は会社が行うため、その書類は会社の承認を得なければなりません。
その書類がどれくらいで作成できるかのによりますが、それに時間がかかって3月が近づいてきた場合には、電験と同様に免状交付か祝い金申請を遅らせる必要が出てきます。
申請時期による社会保険料の違いを試算してみた
では、先ほど例で挙げた、東京都在住、45歳、4,5,6月の報酬月額が40万円というモデルケースの場合に、4~6月の臨時収入(祝い金申請)金額を横軸、社会保険料月額を縦軸として、グラフを作ってみました。
今回のケースだと祝い金申請額7万5000円が最初の分岐点ですね。
10万円を4~6月に申請した場合とそれ以外の月に申請した場合を比較してみましょう。
4~6月に申請した場合は、社会保険料額表から28等級になり、月額の保険料負担額は65868円です。
一方4~6月以外に申請した場合は27等級になり、月額の保険料負担額は61377円です。差額は65868円-61377円=4491円となり、年間の支払額では4491円×12=53892円の差になります!!
この数字、結構衝撃じゃないですか??
10万円の祝い金をもらって喜んでいたはずなのに、4~6月に申請してしまうと半分以上が社会保険料として国に徴収されてしまうのです!
さらに最悪のケースは、もともとの給料でギリギリ27等級に収まっていた場合です。
この場合10万円の祝い金をもらうことで等級が二つ上がって29等級になる可能性すらあり、その場合は祝い金以上の金額を社会保険料として徴収されることになります!
また、同様に祝い金30万円の場合の計算をすると、年間の支払額では13473円×12=161676円の差になります。
報酬月額に加算されるのは資格の祝い金だけではない
今回は資格の祝い金という特定の臨時収入について考えました。
しかし、お気づきの方もいると思いますが、祝い金だけではなくその他様々な収入も報酬月額に加算されます。
全国健康保険協会によると、標準報酬の対象範囲は以下の通りです。
標準報酬の対象となる報酬は、基本給のほか、役付手当、勤務地手当、家族手当、通勤手当、住宅手当、残業手当等、労働の対償として事業所から現金又は現物で支給されるものを指します。なお、年4回以上の支給される賞与についても標準報酬月額の対象となる報酬に含まれます。
全国健康保険協会|標準報酬月額・標準賞与額とは?
このように会社から支給される金銭はほとんど含まれると考えてよいです。
したがって自分でコントロールできる収入はできるだけ減らす(4~6月は急ぎの仕事でなければ違う月に回す、申請して支給されるものは申請時期をずらすなど)のが得策です。
資格合格の祝い金申請で損をしないために知っておいてほしいこと(まとめ)
今回は資格合格の祝い金を申請する際に損をしない方法について解説しました。ポイントをまとめます。
- 社会保険料は毎年の4~6月の給与が多い人ほど納付額が高くなる
- 資格合格の祝い金は4~6月を外して会社に申請する
- 4~6月に申請してしまうと、場合によってはもらえる祝い金よりも社会保険料の増額分の方がが大きくなる
- 資格の祝い金だけではなく、4~6月に会社から支給される金銭は報酬月額に加算される
資格祝い金の申請で損をしないようにしましょう!