1種 2種 電験

再閉路方式とその分類[電験3~1種合格者がわかりやすく解説]

2021年6月7日

どうも、いちにょきです!

今回は再閉路方式について、全体像がつかめるように、まとめてみました。

再閉路方式は、高速度再閉路、多相再閉路などたくさん種類があって、何が違うのかわかりにくいですよね。

わかりやすくまとめたつもりですので、再閉路方式がなんだか理解できないという方はぜひ読んでみてください!

はじめに全体像をつかむ

再閉路方式をわかりづらくさせている原因は、速度による分類(高速度、中速度、低速度)と再閉路相数(単相、三相、多相)による分類をごっちゃにしてしまうからです。ですので、まず初めに再閉路方式の分類を簡単に図にしてみます。

再閉路方式の簡単な分類

大枠をつかむためにここで覚えておいてほしいのは、以下の2つです。

・高速度再閉路は、再閉路の相数によってさらに3つに分類できる
・三相再閉路の再閉路速度は、状況によって高速度~低速度になる

速度による分類

まず速度による分類です。

こちらは名前から想像できる通り、再閉路にかかる時間が短いものから高速→中速→低速となっています。

表にそれぞれの再閉路時間の目安を示します。

高速度中速度低速度
時間の目安1秒程度15秒程度1分程度
再閉路速度の目安

便宜上3つに分類されていますが、この時間ははっきりと決まっているわけではなく、文献によっても変わってきますので、正確に覚える必要はありません。

大体のオーダーを知っておけばよいです。

また、高速度再閉路とそれ以外の再閉路には、事故点の両端で同期がとれているかどうか(再閉路する際に同期検定を必要とするか)という、明確な差があります。

同期がとれていないと高速度再閉路はできません。

なので、高速度再閉路とそれ以上時間のかかる(中~低速度)再閉路のようなイメージで認識するのがよいです。

再閉路までの時間が短いほど、電力系統の過渡安定度向上に寄与するため、架空送電線では可能な限り高速度再閉路を行います。

事故点の両端で同期がとれていないと高速度再閉路はできない

事故点の両端で同期がとれている条件とは

線路の再閉路において、同期が取れている条件とは何でしょうか?

それは事故点の両端において、2相以上が連携していることです。

同期がとれている状態

2相以上が連携している=同期がとれている=同期検定が不要

再閉路相数による分類

次に再閉路する相数によって分類します。

単相再閉路方式

1線地絡事故に限って、事故相を遮断し高速度で再閉路します。

1相のみの遮断なので、事故点両端で同期がとれています。

そのため、単相再閉路は基本的に高速度再閉路となります。

単相再閉路

三相再閉路方式

1線地絡であろうと3線地絡であろうと、事故様相に関係なく三相一括で遮断し、再閉路します。

中速度~低速度再閉路の場合

1回線の送電線などでは三相一括で遮断すると同期がとれなくなるので、高速度再閉路はできなくなります。

また、配電線でもしばしば用いられます。

高速度再閉路の場合

一方、三相再閉路でも高速度再閉路を行える場合があります。

では、三相を一括で遮断しても同期がとれている(2相以上が連携している)状況にはどんなものがあるでしょうか?

それは①平行2回線の送電線の場合と、②ループ系統の場合です。

平行2回線の場合、片回線で事故があり、三相を一括で遮断しても、もう一方の回線で同期がとれているため、高速度再閉路を行うことができます。

平行2回線の三相再閉路

また、ループ系統の場合は事故点を三相遮断した場合でも、別の場所でループを形成しているため同期がとれており、高速度再閉路を行うことができます。

例えば、下図のようなループ系統の場合、遮断した事故点の両端は青矢印の別ルートで連携されているため、三相再閉路を行うことができます。

ループ系統時の三相再閉路

多相再閉路方式

多相再閉路方式は平行2回線の送電線に採用されます。

両回線合わせて2相以上が連携されていれば(=同期がとれていれば)、1線地絡であろうが、多重事故であろうが、事故相のみを遮断し高速度再閉路します。

例えば、1号線がB、C相、2号線がA、B相の多重事故が発生した場合、1号線のA相と、2号線のC相が健全であり、同期がとれているため、多相再閉路が可能になります。

多重事故時の多相再閉路

事故様相によって再閉路する相数が変わるので、多相という表現になっているわけです。

また、多相再閉路方式では、平行2回線6相中の1相地絡事故でも高速度再閉路を行うし、2回線中1回線の3相事故でも高速度再閉路を行うので、状況によって単相再閉路と三相再閉路を行うことになります。

つまり、この多相再閉路方式は、単相再閉路と三相再閉路の機能を併せ持っていると言えます。

中速度~低速度再閉路についての補足

中速度~低速度再閉路は三相再閉路のほかにも、自動復旧装置や自動受電切替装置によるものがあります。

これらは、昔は人間が送電線事故を復旧していたところを、復旧時間短縮のために機械に自動化させたものです。

イメージで言えば手で衣類を洗濯していたところに洗濯機を導入したようなイメージでしょうか笑

人間がやっていたところを機械に行わせているだけで、技術的な話はあまり絡んでこず、電験にも出てこないと思いますので、今回は詳しく解説しません。

興味のある方は調べてみてください。

再閉路方式とその分類(まとめ)

今回は再閉路方式について解説しました。ポイントをまとめます。

  • 再閉路方式には、速度による分類と再閉路相数による分類がある。
  • 同期がとれていないと高速度再閉路はできない。
  • 2相以上が連携している=同期がとれている=再閉路時に同期検定が不要
  • 三相再閉路は高速度で行う場合と、中~低速度で行う場合がある。
  • 多相再閉路は単相再閉路と三相再閉路の機能を併せ持つ。

今回は、再閉路方式の全体像がつかめるように解説しました。より詳細な解説については、参考文献などを活用してください。

参考文献

-1種, 2種, 電験
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